老いと花

還暦まであと1年半、日々の出来事や思い出を気ままに綴ります。

迷う子ども

 


 昨日、出かける前に犬と散歩をしようと外に出ると、ランドセルを背負った小さな女の子が大泣きをしていた。隣にも同じような背格好の女の子。口をきつく結んで、張り詰めた顔をしている。どうしたのかと尋ねると、迷子になったと言う。家は二人とも、私が犬とよく行く大きな公園の近くだと言うので、一緒に公園まで行くことにした。まだ1年生だという女の子たちは、細い足を一生懸命動かして私と犬についてきた。歩調を合わせてあげたかったが、チワワの足の方が彼女たちよりずっと速く、時々犬を抱き上げて追いつかれるのを待った。
 20分ほど3人と1匹で歩き、やっと泣いていた女の子の家に到着した。低層マンションの2階に2人が駆け上がり、インターホンを押している。ドアが開いたが、なかなか家に入ろうとしないのを見て、私も2階に上がった。「うちの前で泣いていらっしゃったので、お連れしました。」と家の中に声をかけると、奥からお父さんらしい人がズボンのチャックを上げながら出てきた。こういう時、全くたじろがなくても済むのは年を取って良かった事の一つだろう。
 事情がやっと呑み込めたのか、とても丁寧にお礼を伝えられた。急いで帰ろうと踵を返すと、泣いていた女の子がなぜか待って!と何回も呼ぶ。ごめんね、急いで帰らないといけないの、またね、と言って家に向かった。
 台所でチワワも私もごくごくと水を飲んだ。一息ついた後、大人が迷子になった時はどうすれば良いのだろうとふと思った。どんなに泣いても、誰も助けに来ないかも知れない。仕方がなく歩き出し、そのまま戻るべき場所に戻れずさまよい続ける場合もあるだろう。