老いと花

還暦まであと1年半、日々の出来事や思い出を気ままに綴ります。

2022年4月のブログ記事

  • 鳥は飛ぶ

     何年か前、家の近くで鳩が死んでいた。カラスの声が余りにもやかましいので何事かと表に出ると、車道の真ん中でうつぶせになっていた。車に轢かれたのだろうか、脚の辺りに血痕が見える。カラスたちは電線に止まって、何やら相談しているようだった。放っておくと、彼らに食い荒らされてしまうと思い、近くの公園に埋め... 続きをみる

  • バイバイ ベイビー

     今日、出かける時に下の居間からテレビのCM が聞こえてきた。「幸せってなんだろう」と誰かが言っている。  10年ほど前に、友人の一人に誕生日プレゼントを渡したところ、「どうしよう。幸せになっちゃうかも」と言った。確か、四葉のクローバーを模ったガラス細工のキーホルダーだったと思う。思わず「今だって... 続きをみる

  • 中途半端な運命

     30歳に差し掛かろうという時、ある駅で同世代の男性にいきなり声をかけられた事がある。やってきた電車に乗らないわけにもいかず、車内でしばらく話した。差し出された名刺には聞いたことはあるものの、すぐに顔を思い出すことはできない女優の名前が書かれていた。脇に「マネージャー」とある。半信半疑のまま受け取... 続きをみる

  • 100万回生きたねこの幸せ

         世界中で読まれている「100万回生きたねこ」を読んだのは、40歳をとうに過ぎてから だ。きっかけはすっかり忘れてしまったが、大人になってから読んで良かったと思う。も っと言えば、人を心から愛する経験を経てから読んで良かった。  主人公の猫は、100万回、生まれては死に死んでは生まれ、その... 続きをみる

  • 雨の日の落とし物

       最初は「また?」と家族や友人によく驚かれたが、今では当たり前の事になってしまいめぼしい反応も特にない。10年ほど前からだろうか、私は、2か月に1回は落とし物を届けている。割かし落とし主にとっては大切なものばかりだ。財布、家や車、自転車の鍵、キャッシュカード、ギフト用手提げに入れられたゴディバ... 続きをみる

  • プードルの怒り

     先日、ウクライナ女性が日本に連れてきた犬の処遇が話題になった。私にとって2 番目の犬トトも、北米から1歳の時に日本へやってきた。成田空港での2週間の検疫期間 は、私にとってそれまでの生涯で最も長い日々だった。文字通り、指折り数えてついに 迎えた最終日、検疫所で再会した愛犬はすっかり薄汚れていたが... 続きをみる

  • フランスのお化け一家

       フランスのお化け一家、バーバパパを知ったのはいつ頃だったのだろう。手元には、お皿やボール、ジッパー袋がある。バーバパパ一家ののほほんとしたところも好ましいが、私が一番好きなのは一家の誕生エピソードだ。  パリのカフェで偶々となり同士になった若い男女が、雑談をしながら落書きを書いていくうちにパ... 続きをみる

  • チワワのお詫び

     チワワは余りにも身体が小さいため、言葉だけの叱責でも躊躇してしまう。まだ小さかった頃、余りにもしつこくまとわりついたので、疲れていたせいもあり思わず大きな声で叱った事があった。一瞬、何が起こったのか理解できない様子だったが、すぐに自分のおもちゃ(大小さまざまなぬいぐるみ)を一つずつ私の足元にくわ... 続きをみる

  • パンダと台湾茶

     台湾のお茶が人気と聞き、今日、地元で試してみた。プラスチックゴミをなるべく出 さないように、滅多にこのタイプのものは購入しないのだが、台湾人の友人に久しぶり に連絡するきっかけにもなると思ったのだ。  彼女は、彼女が学んでいた大学で教鞭を取っていた古い知人から紹介された。「今度、教え子が日本に行... 続きをみる

  • 断崖絶壁のムーミン

     なぜこんなにもムーミンが好きなのだろう。6歳でムーミンの漫画(すばらしい翻訳 であるにもかかわらず、なぜか翻訳者名が記載されていない)を読み始めて以来、半世 紀以上が経つが、いまだにムーミングッズを買ってしまう。  だが、作者のフィンランド人、トーベ・ヤンソンが同性愛者だったと知ったのはつい数年... 続きをみる

  • 1ドルショップのマリア像

     数年前、アメリカのある州に3週間ほど滞在した。陽光の容赦ない強さに閉口しつつも、特異な滞在理由にほぼ毎日、興奮状態だったように思う。そろそろ、そうした状態にも限界が近づいた頃、ついに最終日を迎えた。  私たちは、毎日走らせていたレンタカーを返すにあたり、1ドルショップに寄る事となった。キッチンペ... 続きをみる

  • はちみつとウクライナ

     はちみつは、蜂が蜜を吸う花によって味が変わると聞いたことがある。ウクライナの蜂はどんな花の蜜を吸っているのだろう。訳あって、はちみつはここ20年ほど口にしていなかったが、今日、紅茶に入れてみてその優しい美味しさに驚いた。砂糖とは明らかに違うまろやかな甘さ。  海外の大学で教鞭をとる方から「はちみ... 続きをみる

  • ハローキティ

     今日、親友の長女にささやかなギフトを送った。彼女が3歳ごろの事だったと思う、恐らく母親に促されて書いた誕生日祝いのお礼状が FAX で届いた。そこにはキティのイラストと共に「ヘロー キティ」とたどたどしいカタカナが書かれていた。この愛らしいメッセージを目にして「人はこうしてバイリンガルになるのだ... 続きをみる

  • 神去なあなあ日常

     今日、やっと「神去なあなあ日常」を読み終えた。バスと電車の中で少しずつ読み、3週間ほどかかったかと思う。三浦しおんさんの作品は、数年前に「天国旅行」を読み衝撃を受けてから、時々読んでいる。一部が映画にもなった「まほろ駅前シリーズ」もとても楽しませいただいた。どの作品も登場人物が非常に生き生きとし... 続きをみる

  • ウクライナと犬

     今日、ウクライナから飼い犬と共に日本へ逃れてきた方が、成田空港で半年、犬が検疫下に置かれる事を知らされ嘆いておられるというニュースを目にした。  約20年前、私も北米で生まれたプードルを連れて帰国したが、検疫は2週間で済んだ。この違いがもし、私と彼女の国籍の違いにあるのであれば、何という理不尽さ... 続きをみる