老いと花

還暦まであと1年半、日々の出来事や思い出を気ままに綴ります。

2022年5月のブログ記事

  • 逃げる柴犬

       去年の12月、散歩をしようとチワワを連れて家を出ると、近くの公園の前で小学生たちが大騒ぎをしているのに気が付いた。用心しながら少しずつ近づくと、柴犬が子供たちを追いかけ回している。本人(犬)にとっては楽しく遊んでいるつもりだろうが、立ち上がると子供たちの身長とさほど変わらないため子供たちは逃... 続きをみる

  • 狐の嫁入り

     30歳になる直前だったと思う。ある時、同僚のホーム・パーティーに参加すると、ヨーロッパのある国から来日していた青年を紹介された。絵を画いているという。思わず(心の中で)口をあんぐりと開けてしまうほど美しい顔だちをしていた。  その日から暫く経って、あれは東京の西部だったか、山の中で開かれたお祭り... 続きをみる

  • 「泣いて良いよ。」

       子供の頃に事故に遭い、ある大学の付属病院にしばらくの間、入院していた。入院当初は毎日のように包帯を取り換える必要があったのだが、これがとてつもなく痛かった。傷口が包帯にひっついてしまい、包帯を剥がそうとすると傷口も一緒に引っ張られてしまったので。私は毎日、大声で泣いた。だがある時、泣くのを我... 続きをみる

  • 空飛ぶ猫

       特異な体験と言えば、米軍の貨物輸送機に猫と一緒に乗ったことだろう。大分前に、東南アジアで大きな地震が発生し、津波が島々を襲ったことがあった。ある国の動物保護団体が本土近くの島に取り残された(と主張)猫たちのレスキューを駐留米軍に依頼したのだった。どのような経緯で、私が同乗することになったのか... 続きをみる

  • 迷う子ども

       昨日、出かける前に犬と散歩をしようと外に出ると、ランドセルを背負った小さな女の子が大泣きをしていた。隣にも同じような背格好の女の子。口をきつく結んで、張り詰めた顔をしている。どうしたのかと尋ねると、迷子になったと言う。家は二人とも、私が犬とよく行く大きな公園の近くだと言うので、一緒に公園まで... 続きをみる

  • ちぎれる耳

     昨日、車内で女の子たちが楽しそうにピアスについてお喋りをしていた。わっかになったピアスをつけると、耳が引っ張られて長くなってしまうと言っていた。私も30歳の頃、ピアスをしようと思った事がある。どうしてもイヤリングに慣れなかったせいもあるが、当時、ピアスをすると(耳に穴を開けると)運が良くなるとい... 続きをみる

  • 「遠くです。」

     55歳になったばかりの頃、ある駅で待ち伏せをされた事があった。なぜそうと分かったかといえば、その時一緒にいた友人にその人の外見を後日伝えたところ、彼とすれ違った事を憶えていたからだ。友人と別れ改札口に入ろうとした時、いきなり呼び止められた。  私は裸眼ではほとんど何も見えないが(ちょうどその日は... 続きをみる

  • 熱帯の栗

       随分前だが、東南アジアのある国で開かれた会議に参加した事があった。アジア各国から何名かずつが参加していた。会議も終わり、打ち解けた数名で短い自由時間を有効に使おうとタクシーに乗り込み街に繰り出した。  すっかり暗くなって辺りの様子もよく見えなくなっていたが、突然、窓の隙間から香ばしい匂いがな... 続きをみる

  • すばらしい獣たち

     昨日、ハリーポッターの番外編のような映画を観てきた。これまで子供が楽しむものだと思っていたが、映像の迫力に圧倒され続けた。思い立って観に行ったのは、主人公が動物学者だと何かで読んだからだ。子供時代の私の夢は、ドリトル先生になる事だった。彼のように動物と話せる事は、何よりもすばらしい事のように思え... 続きをみる

  • かつぐ女

     今日、クリーニング店に出しておいた冬用の掛け布団を取りにいった。受け取った瞬間、 とても軽くなっていたので驚く。ひょいと肩にかつぎ歩き始めながら、いつかもこうして何かをかついで歩いた事を思い出した。  3年ほど前の年末、都内のある公園まで家を持たない人たちに使ってもらおうと、自宅から毛布をかつい... 続きをみる

  • イノセント・ストーリーズ

     家の前の歩道で、時々学校帰りの子供たちとすれちがう。「こんにちは。」「その犬、可愛いですね。」「蜘蛛の巣、いりませんか?」などと話かけられる事もある。(返事に困る場合は、仕方なく無言のまま通り過ぎる)  若い頃は子供が好きではなかったが、年を取るにつれてとても好ましい存在になったのはなぜだろう。... 続きをみる