老いと花

還暦まであと1年半、日々の出来事や思い出を気ままに綴ります。

ちぎれる耳


 昨日、車内で女の子たちが楽しそうにピアスについてお喋りをしていた。わっかになったピアスをつけると、耳が引っ張られて長くなってしまうと言っていた。私も30歳の頃、ピアスをしようと思った事がある。どうしてもイヤリングに慣れなかったせいもあるが、当時、ピアスをすると(耳に穴を開けると)運が良くなるという都市伝説のようなものがあり、試してみたかったのだ。若い頃は絶望的に頭が弱かった。(60歳近くなって、少しましになったような気はする)
 ある週末、明日こそ病院で耳に穴を開けようと決め、駅中のお蕎麦屋で昼食をとっていた。食べ終わりかけた頃、やはり会社員らしい女性たちが隣に座り、ピアスについて話し始めた。「この前、ピアスを外すのを忘れてそのままセーターを脱ごうとしたら、耳がセーターに引っ張られてギャーってなった。」と言っている。湯呑を落としそうになる程、驚いた。その翌日、もちろん病院には行かなかった。
 ごくたまにだが、似たような事が身に起こる。どこかで神さまのような人が私を見ていて、気が向いた時に手を差し伸べているのではないかと感じる時がある。本当に困った時にこそ、手助けして欲しいと願うのは欲深いことなのだろうか。
 写真は、いつの間にか片方だけになってしまったイヤリング。心から大切にしないと、物も手元から離れていくのかも知れない。